岩佐又兵衛と源氏絵 ―〈古典〉への挑戦
挨拶も済んだところで、記念すべき第一回は岩佐又兵衛展。
開催地である出光美術館は開館50周年を記念して2016年度は、一年間特別展を開催中。
更に2017年は、又兵衛が江戸に出てきて380年にあたる記念すべき年でもある。
ご優待割引券を持っていたので活用。学生は200円で入れることに!破格!
今回行った主な理由;大学教授が薦めていた展覧会であったから 優待券の期限が近づいていたから
私の初又兵衛は、山種美術館で見た、重要文化財にもなっている《官女観菊図》。去年の夏に江戸琳派の展覧会で目玉作品の一つとして展示していたけれど、割と山種の中では見かける作品。今回はその作品をパネルの中で紹介していた。
岩佐又兵衛は去年に福井県でも展覧会が行われていたね。
今回の又兵衛展は、源氏物語を題材にした「源氏絵」を中心とし、又兵衛以外の江戸の絵師の作品も並んでいた。
私は最終日の日曜日に駆け込んだのもあって、会場内は混雑していた。仙厓展ほどではなかったけれど。
作品数も50点とちょうど良いくらいの数でした。(作品数が多すぎると見てて疲れてしまうので、私にはこのくらいの規模がベスト。)
源氏物語ってあまりにも有名だけれど、話を全て知っている人って実はあまりいないのではないかと思う。赤瀬川原平さんもよく知らないと言っていた。日本で世界最古の恋愛小説なのは知っているけれど中身を知らない。現代で言うところの、芥川賞はすごい賞だとは知っているけれど、今年は誰が受賞したかは知らない、という関係に似ていると言っていた。納得。(詳しくは『赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の1』講談社)
私自身も今までに、中高の古典の授業で扱われた話と、大学で受けた能の授業で学んだくらいで、今回の展示を見て、自分が知っている源氏物語ってほんの一部だったんだなぁと。今回の展覧会は、又兵衛の作品が堪能できるだけではなく、源氏物語自体も楽しく見ることができる。展示の最後の方には、源氏物語の話が全てパネル展示されていて、一通りの話を知ることができる。一番込んでいたスペースだったけれど、思わず全部読んじゃいました。
今回の展覧会で又兵衛の源氏絵をクローズアップしているのはなぜか。
それは、又兵衛の描き方に秘密があるからだ。
又兵衛源氏絵の特徴は、主体ではなく、主人公にクローズアップしているらしい。一般的な源氏絵って、上から見下ろした俯瞰図のようなものが多くて、(私には)誰が主人公なのか分かりにくい。みんな引き目鉤鼻だしね。
ポスターにも使用された《源氏物語 野々宮図》。源氏物語とは知らずに見ていれば、普通の絵じゃーんと思うが、このように源氏に焦点が当たった作品も考えてみればあまりない。人物にスポットライトを当てると、源氏のいるその場の空気感が伝わってくる。見れば見るほど面白い作品だな。この作品は元々は屏風だったそう。
見にくすぎる不親切な写真。そして私の残像。
あまり又兵衛を見る機会もそんなに多くはないので見ていて良かった展覧会だったな。
ちなみにここの美術館は展示を見終わると、皇居が一望できるスペースで無料のお茶が飲めます。ほっと一息つける良いスペース。又兵衛展は終わってしまいましたが、今は焼き物の展覧会をやっていますよ。JR有楽町駅から私の足で10分かからないくらい。同じ丸の内だからって歩いて三井記念美術館に行くと遠くて後悔します。