篠山紀信展 写真力
横浜美術館で開催中の篠山紀信展。既に何箇所も巡回した大人気の本展は、実は、私の実家の近くの美術館でも開催されていた。予定が合わず行くことなく残念がっていたら、半年後にまさか横浜美術館でもやるだなんて。更に、大学の先生からチケットをもらうラッキーも重なり、早速行行くことに。
思えば、私が篠山紀信さんを認識したのは、確か中学生のとき。ディズニーランドに行くことに大喜びし、下準備として雑誌ディズニーファンを買った号に特集として篠山さんが撮ったディズニーキャラクターが掲載されていたのがきっかけ。何となく名前は知っているけれど、ディズニーのカメラマンだったのか・・・と半分合っていて半分間違った知識を持っていた。大学での授業や、美術書コーナーでようやく「日本で第一線で活躍するカメラマン」という認識に変わっていった。そんな人の展覧会は、中学生の頃の自分のためにも行かなければならない。
今回の展示作品の特徴はなんと言っても写真がでっかいこと。数メートルほどあり、展示室に入った瞬間、迫力に圧倒された。最初の展示室には GOD と称し、既に亡くなった方のポートレートが展示されていた。渥美清さんや美空ひばりさんなどのテレビの有名人から、文豪の三島由紀夫さん、更にはきんさんぎんさんなど昭和を代表する有名人がずらり。照明も暗く、GODという名が付けられた空間だけあって、異空間の中で緊張感が入り混じり、故人に手を合わせたくなるような、何とも言えない気持ちになった。
別の展示室では、STAR と称し、誰もが知る芸能人が展示された部屋や、私が篠山紀信さんをしるきっかけともなるディズニーなど異次元をテーマにしたSPECTACLE、中でも気に入ったのが裸体をテーマにしたBODY。篠山さんというと数々のヌード写真集を発売された方でもあるけれど、特に大相撲の写真は圧巻。鍛え抜かれた肉体美がずらりと勢ぞろいし、こちらに迫る勢いだった。
展示の最後にはACCIDENTSとして、東日本大震災で被災された方々を写したコーナーがある。普段ならこのようなドキュメンタリー要素のあるものは撮らない篠山さんであるが、震災が起こった時には、写真家としてその時の状況を撮らざるを得ないと感じていたそうだ。なにも飾りつけされていない、ありのままの素朴な当時の気持ちが表情に出ているのがひしひしと伝わった。震災からもう6年が経とうとしているのか。最近だとテレビでも取り上げられることは減ってしまったけれど、どうなっているのだろうか。
横浜美術館に来たら、企画展だけではなくコレクション展も必見だ。今回の写真力に合わせて、コレクション展は全て写真が展示されたレアな展示。昭和の有名人や、日常風景から、シュルレアリスム時代の写真まで見ごたえがかなりある。写真撮影もOKなのもありがたい。
私は平成生まれだから、「昭和の懐かしい雰囲気」を体感したことはないけれど、テレビで見る昭和風景や昔ながらの商店街の独特な空気感が好き。
このノリノリな舞妓さん。こんな舞妓さんみたことない!
学生運動で煙が立ち上る東大。この時代本当にすごかったらしいな。私の通う大学の創立者の銅像にも学生運動で傷つけられた跡が残っているらしい。
白黒って惹かれるものがある。色がないからこそ、どんな風景だったのか想像が膨らむ。
後は、文豪の肖像写真を集めた中でも坂口安吾の写真がすごかったな・・・。彼自身よりも一緒に写っている部屋が汚すぎて天才に人間臭がしました。
私はカメラにも片足を突っ込んでいるので写真は見ていて楽しい。いつか「写真力」が伝わる一枚が撮れたらいいな。
企画展示は2月28日まで!