(後編)金沢21世紀美術館ー「トーマス・ルフ」展
前編に続き、金沢日帰り旅行での「金沢21世紀美術館」をお送りしています。
今回はもう一つの企画展「トーマス・ルフ」展!
実はこの企画展は冬ごろに東京・竹橋の東京国立近代美術館(東近美)で開催されていたもの。巡回されて金沢に来ていたんだな。見に行こうと思って終わってしまったと思いきやこんなところで見ることができるなんて!
ちなみに、東近美のポスターに女性の写真が大きく使われていたので勝手に女性だと思っていたらトーマス・ルフは男性だった。
フライヤーを読んでみると、トーマス・ルフ(1958~)は、ベッヒャー派として、1990年代の現代写真界を牽引している方だそうだ。ベッヒャー派の特徴としては、「類型学」を基本としているそうで、共通する類型によって収集されたイメージ群を提示することで意味的差異を抽出する形式的な手段・・・何を言っているのか謎。私には分からない。
とりあえず作品を見てみよう。
こちらでは写真撮影が可能!
この奥の女性の写真がポスターに使われていた。素朴な雰囲気がすてき。
ルフの友人達が証明写真のように撮影されている。
この作品、一見普通の肖像写真のように見えるが実は合成写真。鼻や目、眉など顔の部分パーツがそれぞれ持ち主が違う。この手法は元々犯罪者の指名手配などで使われていたそう。よく見ると、顔のバランスもおかしい。実際に社会で使われている方法をアートを表現するための手段であると気付くって、できそうで実は気付くまでが難しいと思う。
私の大好きなクラーナハ。よく見ると額縁の表面に傷が。
21世紀美は小さな展示室が幾つもあって、部屋に入る度に大きな写真作品がどん!と目に飛び込んでくる。
他の部屋には3Dメガネをかけて立体に見える作品や、わざとぼやかした風景写真など多様な手法で私を驚かせてくれた。
衝撃だったのは、女性のセクシーなヌードを加工した大きな写真。ヌードを撮ったことに驚いたのではなくて、被写体をパソコンで検索して出てきた画像そのまま使っているということにびっくり。加工された写真はぼやっとしていたけれど、元の写真は結構過激だったのかな~というものもあった。
ルフの被写体は何も特別なものじゃない。簡単に言ってしまえば、パソコンで拾ってきたそこらへんの写真や、一般人の顔のパーツを合成したもの、文字が書き込まれた印刷物に写真を貼ったものなど、素朴な素材で制作されたものばかり。決して派手なものではないけれど、日常の「なんでもないもの」がルフの手によって私の中で「さりげないかっこいもの」になっていった。
あまり展覧会で私は積極的に写真系は観に行かないのだけれど、二月の篠山紀信展といい、今回のルフ展といい、写真を観る機会が増えて今年は自分の美術の幅が広がりそう。
写真の楽しさを教えてくれる展覧会だった。
金沢1人旅では、美術館の他にも神社巡りも私の楽しみの1つ。中でも尾山神社が素敵だった。
鳥居とステンドグラスがついた洋風な建物の組み合わせ。こんなの見たことがない。これこそまさに和洋折衷。
ちなみにここの御朱印に付くスタンプが毎月季節にあったデザインに変わるので、次回は今回とは違う季節に訪れたいな。
㏠バス乗り放題券で金沢市内を乗り回し、美術館に神社、兼六園に工芸館、金沢城や東茶屋街、錦市場を見て回り、夜は新鮮な刺身定食を食べて大満喫。ホテルの日帰り温泉でお風呂に入り、夜の9時半に深夜バスで帰った。日帰りでも十分楽しい金沢。予算も1万円以内に納められるので学生に特にオススメです。