明治から昭和の日本画と洋画―絵画の潮流展
だいぶ日が空いてしまいました。
部活での合宿等で中々時間が取れず、気付けば4月に!
4泊5日の合宿中の夜に進めようと思っていたのだけれど、こういうのは、高確率で「道具を持ってきたのはいいけど、やらないパターン」である(遠征あるある)。
案の定パソコンやらメモやら何一つ開かず、終日疲れて寝ていたり、UNOやったり、部員が購入したシン・ゴジラを視聴するのに忙しかったのだ。持ってきた「進めようと思っていたものセット」は、部屋のインテリアと化していた。あんなに重い荷物の中に無理やり入れてきたのに、結局使わなかったのなら意味ないな!とは思わず、筋トレになったなぁ~と考えるようにしている(超ポジティブ)。
今回は横浜駅のそごう美術館で開催されている「エール蔵王 島川記念館所蔵 秘蔵の名品 明治から昭和の日本画と洋画 絵画の潮流展」について書こうと思う。
ここの美術館は、所蔵作品は少ないものの、充実した展覧会が多く、価格も良心的。その上、落ち着いてゆっくりと鑑賞できるのでオススメ。
作品の所蔵先である「エール蔵王 島川記念館」は宮城県にある美術館であり、実業家である島川隆哉氏のコレクションを取り扱っている。
今回取り扱わている作家は、タイトルにもあるように、明治から昭和にかけて活躍した、日本美術史の中では彼らなしでは語ることの出来ない、必要不可欠な巨匠ばかりである。
言ってしまえば、「よくある明治から昭和にかけての色んな画家を扱う展覧会」であり、目新しさや「そごう美術館でないとできないんだ!」というわけでもない。平凡的なテーマの展覧会であり、失礼だがそこまで期待して行ったわけではなかった。
行った感想を先に述べてしまうと、当たり前のように美術好きの中では知られている作家の新たな一面を知ることのできるという、勉強になる展覧会だった。
美術に特に興味はないが、デートスポットには最適な横浜だし、一応コースに入れておこうか~と考えているカップルには正直あまり楽しくないかもしれない。
そして気付いたのが、いつもは、キッズガイドをフライヤーと合わせて配布しているが、今回はそのようなものは見当たらなかった。やはりターゲットはある程度美術に関心のある人向けなんだろうな。
少々お堅い面もある内容だったが、美術史を勉強している身にとっては「そうだったんだ!」と新たな知識を得ることができる。
例えば、岸田劉生。あの「麗子像」でお馴染みの娘大好きな画家。一体何枚麗子ちゃん描いたんだ!?というくらい麗子像は様々な展覧会で見かけるが、実は岸田お気に入りのモデルは麗子ちゃんだけではなかったのを知っている人はどれくらいいるのだろうか。
実は、麗子ちゃんの友達である3歳年上のお松ちゃんも岸田大のお気に入りの被写体である。展示されていた≪村嬢於松之図≫では麗子ちゃんにしょっちゅう着せて描いていた赤いはんてんのような上着をお松ちゃんにも着せて描いていた。
速水御舟の≪躑躅(つつじ)図≫のキャプションには花の中でも、ツツジが得意であると書いてあり、あまり単体の花の印象がない画家だったのでこれにもびっくりした。(小さなものよりも、壮大な作品を描くという印象が私の中では強いのだ。)ちなみに、去年の5月にとある大学の先輩の発表のスライドショーで見た作品も展示してあった。多分、あの絵なんだよな~。
また、印象に残った作品としては橋本関雪の≪老猿≫が上がる。「なんて、素朴なテナガザルなんだろう・・・」と思いキャプションを読んでみると、「中国文化に親しむ自身と亡き妻を投影させる」と書かれており、このサルが亡き妻の投影!?どういうところが!?めっちゃくちゃ素朴な顔をしているよ!?もしかしたら、サルそのものではなく、ポーズから投影させているのかもしれない。
過去のブログに金沢の旅でたまたま見つけた石川県立美術館の鴨居玲に感激した、ようなことを書いていたが、今回再び作品にお会いすることができた。1点のみであったが、今回展示されていたのである。やはり異彩を放ち、怖い印象を与える作品であったが、お会いできて本当に良かった。これだけでも行った甲斐があったといえる。
明治から昭和にかけて、と展覧会タイトルに記載されていたものの、最後にはハイパーリアリズムの森本草介の息を呑むような、つややかな肌の女性の作品も展示されていた。本当に写真みたい。でもこのように写実を追求する方々に「写真みたい」という表現は失礼かもしれない。日本で生まれた洋画・日本画、そしてハイパーリアリズムの画風の多様さに驚いた展覧会でもあった。
期間は4月6日まで!