草間彌生 わが永遠の魂
今期、最も注目を集めている展覧会の一つ、それが国立新美術館で開催されている草間彌生展だ。
ゴールデンウィーク明けなら空いていると思って出かけたらそれでも混んでいた。入場規制がかかり、入るまでに10分待ちであった。恐るべし、彌生ちゃんパワー。
個人的に彌生ちゃん(と私はいつも呼んでいる・・・)とは縁が深い。というのも彼女も私も故郷が同じ長野県であるからだ。
高校生の頃には松本市美術館で「永遠の永遠の永遠」展が行われ、観に行っていた。自伝も当時読んでいたので、作品と人生の両方を把握していることから、他の現代作家よりも親しみがある。
彌生ちゃんの特徴と言えば何といっても水玉。美術をさほど知らない人でさえも、「ああ、水玉の人でしょ」と言うほどなのだから彼女の知名度は本当にすごい。今回の展覧会も普段美術館に訪れない人も興味があり行った人も多いのではないだろうか。
ゴールデンウィーク終わりの平日の昼間なら空いていると思ったがそれでも混雑をしていた。入る時にはすでに入場制限がかけられており、10分待ち。(ゴールデンウィーク中と比べればかわいいものだなぁ)様々なブログやサイトでも書かれていたが、会場内はとても広いので、入っても混雑という感じはあまりない。(閉館前のガランとした静かな中であの大きな会場内にいたらどんなに気持ちが良いのだろう・・・)
入ってすぐの一番大きな部屋が写真撮影が自由であり、多くの人が写真を撮っていたのだが、皆さん作品を見るのではなく、写真を撮ることに専念しており、撮ったら作品を見ることなく、次のお目当ての作品の撮影に足を向けている人が多かったように感じる。家に帰ってゆっくり写真を見るのも良いだろう。けれど、彌生ちゃんが小さな体であれほどのダイナミックな作品を描いたあの圧倒される迫力、絵具のかすかな匂いは家では味わえない。生の作品を目に焼き付けるのはあの空間でしかできない。
こちらが写真撮影可能なエリアの作品たち。主に新作。
中央には大きな立体作品が二つ展示されている。水玉模様でできた大きな花。うねるような太い茎や葉っぱがたくましい。
新作といってもかなりの数が壁一面に展示されている。一枚一枚の作品を見るために壁を見上げるのも大変なくらい。
一作品ごとに題名が付けられていて、希望に満ちたタイトルもあれば、一見明るそうな雰囲気のあるものでも自殺など後ろ向きなタイトルも多かった。葛藤を繰り返しながら、アトリエと寝床の精神病院を行き来する毎日の中で、ただひたすらに絵を描くことだけを追求していたのだろう。
水玉以外でも人が描かれていることもしばしば。
ダイナミックな新作に圧倒された私であったが、次の展示室からは彼女の若かりし頃の作品も数多く展示されている。絵画作品だけではなく、インスタレーションや参加型の作品、パフォーマンスの映像などかなり見ごたえがあった。
様々な作品を見て感じたのが、彼女はモチーフを反復することを非常に好む。つまり、一つの作品の中に大量に同じモチーフが盛り込まれている。これは、水玉模様に限らず、男根や線なども当てはまる。(上記の写真の眼もそうではないでしょうか)
水玉を使うことの理由として、耳なし芳一がお経を体中に書いたように、水玉を大量に描くことによって彼女そのものを守るという意味があるそうだ。だとしたら、モチーフを多く描けば描くほど防衛の意味が強いのかもしれない。毎回の描いているときの精神状態も異なるだろうし、楽しかったり辛かったり作品に込める気持ちも変わってくる。
描くことこそが彼女の防衛であり、体の自由が効く瞬間なのかもしれない。
参加型の立体作品では、中に入るとおびただしい数の電球がカラフルに光っていた。周りは一面鏡となっており、私と電球の様子がきらきらと映っている。鏡と鏡が映りあい、どこまでも奥行きが続くような不思議な空間の中で美しくも怪しく光る電球の明かりが何ともいえない気持ちになった。
また、有名なカボチャを用いた作品も複数展示されている。屋外にも大きな黄色いカボチャがあり写真撮影が可能なので時間があればぜひ。
展示が終わるとおまちかねのショップコーナー。これが今回の一番厄介である。かわいらしいグッズの数々に欲しいものを選んで列に並ぼうとしたら50分待ちという文字を見つけてしまった。一瞬並ぶことにためらってしまった。でも、どうしても欲しい!!!!
展覧会に入るよりも並ぶのか・・・・。こうして私は根気良く並び続け、お目当てのものを買うことに成功。
50分並んだ結果ゲットしたのが彌生ちゃんの分身。
鼻の穴がそっくりだと思いませんか?
再入荷するほどのすごく人気な商品らしい。かわいい~と思って迷わず買ったのだが、張り紙には「お一人様、10個まで」との注意が。彌生ちゃんは個人的に一体で充分だと思うのだが、10個買う人って・・・どんな人?熱心な信者か話題のメル●リ・・・?
彌生ちゃんの作品をたくさん見て、欲しいグッズも買えたので満足。彼女はきっと死ぬまで戦いながら、絵を描き続けるだろう。私は同じ長野県民として女性として心から尊敬している。頑張れ彌生ちゃん。