見えてくる光景 コレクションの現在地―アーティゾン美術館
今回は、長期休館からリニューアルした「アーティゾン美術館」に行ってきた。
旧ブリジストン美術館から名前が一新した「アーティゾン」とは、「アート」と「ホライズン」の造語だそう。
東京駅から程近い場所にあって、アクセスも抜群。
展示室は4階から6階まであるけれど、広すぎず、狭すぎない展示室でちょうど良い大きさ。
事前にネットでチケットを購入する「日時指定制」なのだけれど、建物に入る直前に予約しても入れたので大混雑が予想される展覧会を除けば、行く直前に予約でOK!だと思う。
平日のお昼頃にいったけれど、割と空いていて、お客さんとの間隔を気にせず、作品鑑賞に没頭できました。
大学生までは無料で入れるので、3月に卒業する学生は滑り込みで行くのが吉!(私が駆け込んだうちの一人です)
今回はコレクションを中心に見せる企画展で、6階と5階は「アートをひろげる」「アートをさぐる」と題して、近代以降の西洋画と日本洋画が中心に展示されていた。
アーティゾンの収蔵品の「底力」が伝わる作品群だった・・・・。特に抽象絵画は戦後以降のものが幾つも新収蔵品のマークがついていて、今後はこの類の研究も積極的に行っていくのだろうか。
6階から始まる展示室内は導線がちょっと難しかったけれど、たっぷりと作品が展示されていた。
中でも私が気に入った作品群はこちら。↓↓↓
関根正二《子供》(1919)
この作品を見ていた時に、アンリ・ルソーの《人形を持つ子供》(1892)の背景の青色と服の赤色がピッタリと自分の中で重なった。
偶然なのか、それとも関根は意識していたのかな・・・。
現在、神奈川県立近代美術館で関根正二展が開催されているので、そちらもチェックをせねば!
青木繁《海の幸》(1904)
今回初めて生で見れて嬉しかった作品ナンバー1。予想以上に大きな作品だった。作品も勿論なんだけれど、木彫りの額が良かった。
海産物を担いで歩く群衆の中に一人だけ、こちらを向いている人が実はいるのがポイント。
教科書にもよく出てくるお馴染みの作品。
白髪一雄《観音普陀落浄土》(1972)
思わず見入ってしまった作品。
赤と青のコントラストに引き込まれそう。白髪さんは足を使ってダイナミックな作品を描き続けた画家。
この作品は足だけでなく、板(初期はスキー板を履いて描いていただとか!)を使って、絵の具のこすれ具合や混じり具合の偶然性を楽しんでいる。
現在、東京オペラシティアートギャラリーで開催されている白髪一雄展にも次の日に訪れて、白髪さんの作品から放たれるエネルギーを充填してたところ。
4階は「古典」や「原始」「聖俗」などカテゴリー別に分けられていて、テーマごとに展示していたので、エジプトの彫刻の近くにジャコメッティーなんかがあったりした・・・。古代オリエントの近くに前田青邨があった時には、パラレルワールドに迷い込んだのかと思ってしまった・・・・。
岸田劉生《麗子坐像》(1920)
私の妹的存在の麗子ちゃん(かつて、別の美術館で麗子像を見ていたら知らない方から「あなた、麗子ちゃんに似ているわね!」と言われたことがある)。
この麗子ちゃんが展示されている空間には肖像画や自画像でまとめられていた。
アンリ・ルソー《イヴリー海岸》(1907頃)
大人気ルソー。人々の身体の大きさがマチマチ。
海岸が海岸に見えないのが最高。
今回のコレクション展は3月31日まで。
1階にはカフェもあり(メニューの中には、ヴィーガン向けのものもあり、令和を感じました)一日楽しめる場所です。
お見逃しなく!!